むかしむかし、今から2500年ほども前。インド洋に浮かぶある島のものがたりです。
大陸の南の端から海を渡ったところに、
とある島がありました。
その国は昔、悪魔、あるいは
夜叉の住む島と恐れられていたこともあったようですが、
2500年ほど前に大陸の北の地域から
ある民族が移り住み、100年ほどの後には
首都を
定めて、
王国となりました。

その
前から住んでいた人たちもいたのですが、もともとそれほど多くの人数がいなかったことに加えて、新しい移住者がどんどん増えたため、少数派になっていったようです。
その後、その国には
仏教が伝わり、皆熱心に仏教の教えを信じるようになりました。そしてその信仰心は愛国心となり、だんだん豊かになっていきました。
しかしその後200年ほどすると、北の大陸からまた
別の民族が入って来ました。
ただ入ってくるだけなら良いのですが、この人たちは宗教が異なり、
違う神を信じていたため、争いになりました。
そしてその国は
、新しく来た民族に一時は支配されてしまい、首都を奪われてしまいました。
2つの民族はその後も争いを繰り返していましたが、仏教徒の方が徐々に盛り返し、ついに、ある賢くて優れた王様の時代には、奪われていた首都を取り戻すことができたのです。
王様は、その後も人々のために知恵を絞りました。
島は、中央の山岳地帯を境に、南の半分は雨が多く、北の半分は少ない気候でした。
そしてその国の首都は北の方にあったため、水不足になりがちでした。
そこで王様は、大きなものから小さなものまで、合わせて10,000個以上の貯水池と運河をつくり、
蓄えた水を利用して稲作を行いました。おかげで、干ばつによって人々が飢えることがなくなったのです。
人々は前よりずっと住みやすくなり、その国は繁栄しました。
当時のその王国の名は、シンハラ王朝。このスリランカの地で最初に栄えた王国と言われています。
その人々はシンハラ族と呼ばれ、獅子の子孫という意味を持つそうです。
このように、ダートゥセーナ王は大変優れた王様だったのですが、王位の継承をめぐってはひどい悲劇が
起こり、今でも悲しいものがたりが受け継がれています。
王様は2人の王子と1人の娘をもうけたのですが、皆それぞれの役割で、悲劇に関わってきます。
今はまずこの王の偉業に敬意を払い、それはまた、別のものがたりでお話すると致しましょう。
→岩山の王と美女たち(前編)に続く