-山を登ったおもちゃ-

インドの山奥では、おもちゃが山を登るといいます。
おもちゃとは言っても、ちゃんと人や荷物を運ぶことができ、2000mの山を毎日往復しています。
進む速度も遅いし、故障も多く、いつもどこかを修理しながら走っていますが、観光客だけでなく
地元の人々にも愛されているようです。
子供は無料で乗ることができるので、通学にも使われますが、とにかく遅いため、子供達は
追いかけて飛び乗ったり、飛び降りたりするそうです。
この列車は、世界で最も古い登山鉄道と言われており、1999年には世界遺産に登録されました。
線路の幅が通常よりずっと狭く、列車もとても小さいため、トイ・トレイン(おもちゃの汽車)とも呼ばれています。
もとは植民地時代にイギリスから来た人々が、インドの暑さに耐えかねて、山の上の避暑地へ行くために作ったものですが、その後も人を運び、紅茶を運んで走り続けています。
沿線に住む子供達にとっては本当におもちゃになっているようですが、あちこち修理されながらも今なお走り続けていることから、この列車がいかに人々から愛されているかがわかります。
建設は難しい工事だったようですが、イギリスの人々は、当時としては画期的な技術を使い、とうとう開通させてしまいました。
列車は勾配のきついところではぐるりと迂回したり、振り子のように前進、後進を繰り返し、ジグザグに登っていったりします。滑り止めのため、人が線路に砂をまくこともあるそうです。
途中にはトンネルがひとつもないため、紅茶畑やヒマラヤの山々の眺望が楽しめます。
天候に恵まれれば、最高点の辺りでは世界第3位の高峰、カンチェンジュンガ(8598m)や世界最高峰のエベレスト(8848m)を望むことができます。
正式名称はダージリン・ヒマラヤ鉄道。
愛称のトイ・トレインという名もよく知られ、インドの東北部、紅茶で有名なダージリン地方を走る列車です。
最も古い機関車は120年ほども前のもので、現在はディーゼル機関車も走っていますが、古いものほど観光客には喜ばれるため、今も現役で走り続けています。
おもちゃの汽車と呼ばれるだけあって小さな機関車ですし、進む速度も非常にゆっくりですが、一部区間だけ乗ってみることもできます。
訪れた際には、120年も働くおもちゃの列車を、ちょっと体験してみてはいかがでしょう。
【ハカセの... もうちょっと知りたい!】
インドの山奥: インドの東北部、紅茶で有名なダージリン地方です。
進む速度: 時速10~11kmほど。非常に遅いですね。
もっとも、区間によってはもう少し出すこともあるようです。
故障も多く: 故障の他、こまめな給水など、とにかく手がかかるようです。
子供たち: 学校の近くに来ると、列車はスピードを落としてくれるそうです。
線路の幅: トイ・トレインの軌間(線路の幅)は約61cm。
通常の軌間が1.4mほどなのに対して非常に狭く、ナローゲージと言われます。
幅が狭いほど列車は小回りがきくため、登山鉄道など起伏のある地形で用い
られますが、スピードを出すには適しません。遅い理由のひとつかもしれません。
トイ・トレイン:Toy Train=「おもちゃの汽車(または列車)」というわけです。
紅茶を運んで: 有名なダージリンティーですね。
あちこち修理: 専用の工場があり、小さなパーツのひとつからそこで作っています。
開通: 開通は1881年。全線で88kmの長さがあります。終点までは7~8時間とされますが、列車の状態によってさらに遅れるため、10時間を越えることもよくあるようです。
同じ区間にバスがあり、こちらは3~4時間程度なので、地元ではこちらが良く使われるようです。
ぐるりと迂回: ループ線と言われ、急な勾配を避けて線路を大きくグルリとまわすため、立体交差があります。4ヶ所にあるそうです。
振り子のように: スイッチバックと呼ばれる方法で、箱根の登山鉄道でも用いられています。こちらも急勾配をクリアするためのものです。前進、後進を切り替えることで、長く線路を作らなくても列車の進行方向を簡単に変えることができます。6ヶ所もあるそうです。
人が線路に砂をまく:滑り止めのための措置で、砂をまく人はサンドマンと呼ばれます。
(オマケの話)
120年も前から、度重なる修理とメンテナンスを行われつつ、トイ・トレインは今日まで
走り続けています。沿線では、古い線路を立てて、電柱に利用したりもしているそうです。
すっかりリサイクルの意識が身についてしまったようで、すばらしいですね。
|
|
|
|